研究課題/領域番号 |
22500470
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
西川 隆 大阪府立大学, 総合リハピリテーション学部, 教授 (60273629)
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研究分担者 |
大西 久男 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 准教授 (80194231)
田中 宏明 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学部, 助教 (60364030)
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キーワード | 統合失調症 / 社会的認知機能 / 心の理論 / 誤信念課題 / 自己モニタリング / アウェアネス / ユーモア認知 / 新聞 |
研究概要 |
研究の目的は、統合失調症患者の社会適応の障害を、「心の理論」能力、社会規範の認識、自己の行動モニタリングなどの社会認知機能との関連において検討するとともに、新聞に掲載される4コマ漫画、笑話、川柳を素材として、メタファー・アイロニーの認知や感情認知に焦点を当てた社会技能訓練法を開発することである。平成22年度は以下の3方面で研究を実施した。 (1) 慢性統合失調症患者60名に関して、自己モニタリング機能を検討する目的で、患者の身だしなみ行動と会的活動の関連を検討した。身だしなみは健常者と比べて大差はないが、多くの項目が全般的機能状態および発症後年数と相関し、身だしなみは主観的評価が客観的評価より低く、社会的活動は逆の傾向が見られた。主観的評価と客観的評価の一致性をアウェアネスの指標とみなした場合、アウェアネスは身だしなみ・社会的活動ともに全般的機能状態が低いほど低かった。またウェアネスの程度は身だしなみが社会的活動に比べて高かった。データの補充とともに研究結果に関する論文を執筆中である。 (2) 慢性統合失調症患者50名に関して、「心の理論」能力と社会規範の認識を検討する目的で、誤信念課題および「奇妙な物語」課題を用いた検討を行なった。誤信念課題では粗大な問題はなかったが、「奇妙な物語」課題では複数の項目で健常者と有意な差がみられ、複雑な状況場面において他者の心情を理解する能力に問題のあることが示唆された。データの補充とともに研究結果に関する論文を執筆中である。 (3) 過去に新聞に掲載された4コマ漫画および笑話から世相の推移や読者の特性に左右されない素材を選んで、ユーモアを惹起する物語の構造分析を試みた。ユーモアは、反復と破調、あるいは落着と急変という対極的なパターンによって惹起され、前者は「心の理論」、後者はナンセンスな滑稽さに関連している。この知見を理論化し、ユーモア理解力の評価法を作成する作業を進めている。
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