研究課題/領域番号 |
22500474
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
後藤 純信 国際医療福祉大学, 保健医療学部, 教授 (30336028)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 半側空間無視 / 経頭蓋直流電流刺激 / 運動視 / 事象関連電位 / 視覚系と前庭系の相反抑制 / 探索眼球運動 / 視覚情報処理 / リハビリテーション |
研究概要 |
目的:主に劣位半球頭頂葉損傷による脳内感覚情報処理機能の障害に起因する半側空間無視(USN)の発症メカニズムは未だ明らかでなくリハビリテーションも限られ、日常生活や社会復帰の重大な妨げになっている。本研究では、頭頂葉を主病巣とする脳内感覚情報処理機能の障害で発症するUSNに対して、健常脳での視覚系と前庭・小脳系との相反抑制機能を念頭に置き、①一側前庭神経の機能を経頭蓋直流電流刺激(tDCS)で非侵襲的に抑制させ、USNの即時的な症状改善の有無を心理物理学的(運動視刺激の認知閾値)、電気生理学的(事象関連電位(ERP)、探索眼球運動)に検討すること、②3次元動画像の長時間視聴による視覚認知訓練とtDCSを組み合わせた新たなリハビリテーションを考案しその長期的効果を検討すること、を目的とする。本年度は、USNにおける運動視刺激(OF)によるERP記録を継続し、疾患群の症例数を増やし健常者群と比較検討した。結果:継時的に経過を追ったUSN群で、初回時白色ドットによる運動視刺激を用いた認知閾値がOF刺激の中心位置が左側に5度ずれると認知閾値がドットのコヒーレントレベルでほぼ100%でないと認知できなかったものが、3か月,6か月と経過を追うに従い7度のずれまで認知可能になる症例が出現した。一方でERPは、振幅や潜時が健常群よりも低下延長しているものが、やや改善傾向にあるが有意差を持って回復する結果ではなかった。考察:本研究での運動視刺激を用いた心理物理学的結果を解釈すると、USNでは右半球損傷によって左側への空間性注意障害が生じたことで注視が右側に偏位してしまい、右側のある範囲でしか視覚探索を行えない結果になったと考えられた。また、長期経過観察群の心理物理学的結果より、運動視刺激を用いて視覚認知のリハビリテーションを継続的に行うことで、無視の改善につながる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ予定通りに直流電流刺激を用いたモデル作成とそのモデルを用いた機能の変化を検討する研究は行えているまた、前年度遅延した疾患を有している患者群(USN群)の長期経過観察個体も患者の都合や症状の変化などで群から脱落していく個体もあるが、順調に経過を追うことができている。
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今後の研究の推進方策 |
患者の長期経過観察個体として、USN症状を有している新規回復期患者をさらに数名研究群に採用し、脱落数の代わりとして実験に採用していく予定である。その他、三次元画像を用いた刺激による誘発電位の記録は、健常被検者群で現在順調に行え、正常値の閾値がほぼ確定したため、患者群に対してリハビリテーションの効果判定として利用し、長期的リハビリテーション効果を検討し、本研究をまとめる予定である。
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