研究概要 |
本研究では、複数のモダリティ(NIRS、f-MRI、PET)を駆使しtDCS効果発現の分子メカニズムを明らかにすることでtDCS適応条件の設定や効果持続性向上に寄与できるだけでなく根本治療に向けて個人ごとに最適化されたテーラーメイド医療の実現にも貢献できるものと期待される。本年度は、1)薬剤を健常人に負荷するため、医師による探索的臨床研究に相当、損害保険会社の損害補償保険に加入する手続きをすすめた。2)3TMRIを用いてf-MRI実験環境を整備しSPM解析による運動課題motor mapを作成準備が完結した。その解析結果を参照しこれまでのf-NIRSで汎用されている国際脳波基準10-20法による簡易な運動中枢手指再現領域とされるC3、C4の調整を試みる。3)共同研究施設でのPET実験に先駆け、ドーパミンのt-DCS効果への修飾作用の可能性について薬理学的検討をした。NIRSによるoxy-Hb濃度変化を指標にドーパミンD2受容体拮抗薬(スルピリド)を服用前後でのtDCS(transcranial direct current stimulation;仕様としてanodal mode,刺激強度1mA,刺激時間10min)効果への影響の有無を検討した。スルピリド25,50,100mg各用量でのtDCS効果への影響を検討した結果、服用前と比べ明らかにoxy-Hb濃度変化に違いがあることが示唆された。一方、tDCSによる直下皮質の脳血流に変化があることも確認できたことより次年度のPET実験プロトコールを考える上で、重要な情報を得ることができた。
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