研究分担者 |
大西 秀明 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (90339953)
大山 峰生 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10367427)
田巻 弘之 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (40253926)
鈴木 誠 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 講師 (80554302)
菅原 和広 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (10571664)
|
研究概要 |
静的筋収縮時の負荷形式には,一定の外力(錘など)に抗して所定の関節角度を保持する肢位制御課題(Position control task : PcT)と,関節角度は固定された状態で一定の筋力を保持する筋力制御課題(Force control task : FcT)がある.本研究は,ニュートン力学的に同一関節トルクを必要とする静的筋収縮を二つの負荷形式によって行った時に,感覚フィードバソクの経路や皮質感覚運動関連領野での運動制御様式が異なるのか否か検証することを目的とした.健常成人11名が示指外転位10°で最大随意筋力の20%を保持する第一背側骨間筋の静的収縮を,PcTとFcTでそれぞれ3分間行った.この時に,正中及び尺骨神経に経皮的電気刺激(3.3Hz)を行い,頭皮上C3'に設置した電極より感覚誘発電位(Somatosensory evoked potentials : SEP)を記録した,両タスクによる静的筋収縮中に記録されたSEP振幅の早期成分N35は,刺激される神経に関わらず安静時と比較して共に有意に低下した.尺骨神経刺激時には,SEP振幅の早期成分N35がPcTにおいてFcTより有意に低値を示した.一方,正中神経刺激時にはSEP振幅の早期成分N35の変化にタスク間の差は認められなかった. 運動時のSEP振幅が安静時のそれより低下する現象はGatingと呼ばれ,随意的に皮質感覚運動連関係の神経基盤を使用した結果,電気刺激に対する反応性が低下することが,その機序として考えられている.尺骨神経刺激時でのみ,PcT実施時のSEP GatingがFcT実施時より大きかったという本研究の結果は,一定の筋力を保持する際に,FcTと比較して,PcTではIa群感覚神経を介した固有受容感覚によるフィードバックが,より必要とされる可能性が示唆された.
|