研究課題/領域番号 |
22500482
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
丹羽 正利 杏林大学, 保健学部, 教授 (90274985)
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研究分担者 |
村松 憲 健康科学大学, 健康科学部, 講師 (00531485)
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キーワード | 排便運動 / 外肛門括約筋 / 腹壁筋 |
研究概要 |
実験にはウレタン麻酔下あるいは除脳した成ネコを用いた。昨年度後半から、ウレタン麻酔に変更し、直腸内にゴム風船を挿入することによって、安定した排便運動を誘発することができるようになったので、その症例数を増やした。また、さらに脊髄の活動レベルが高いと思われる除脳した状態での実験も行った。 外腹斜筋・腹直筋・内腹斜筋・腹横筋・外肛門括約筋の支配神経に記録電極を装着し、その活動を記録できるようにした。直腸内圧を記録できるようにしたゴム風船を直腸内に挿入して排便運動を誘発し、直腸内圧と各筋の活動を記録した。実験終了後、コンピューターソフトウェアを用いて直腸内圧の変化と腹壁筋群、括約筋群の活動のパターンについて解析した。結果、直腸内圧の上昇に伴い陰部神経肛門枝の放電は増加し、バルーン排出中は放電が減少するものの、一定の活動レベルを維持していることが、ウレタン麻酔科および除脳下の動物において確認された。 また、ゴム風船を直腸内に挿入して直腸内圧を高めていくと、その変化に応じて外腹斜筋・腹直筋・内腹斜筋・腹横筋の支配神経の活動が上昇するのが観察された。そのため、ゴム風船が肛門部を通過するのを防ぐために出口を閉じて、直腸内圧と腹筋群との関係をさらに詳細に調べた。その結果、直腸内圧の上昇変化に応じて、外腹斜筋・腹直筋・内腹斜筋・腹横筋の支配神経の活動が確認された。これによって、排便時の腹壁筋群の活動の重要性がさらに示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、排便に関連する脳幹脊髄神経機構を解明し、それらと腹圧の上昇に関係する腹壁筋群との関係を明らかにし、さらに、脊髄損傷モデル動物を作成し、正常の脳幹脊髄神経機構と比較・検討することが目的である。これまで、正常に近い状態での排便運動時の腹壁筋群の活動、及び直腸内圧の上昇にともなう腹壁筋群の活動を記録することに成功している。
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今後の研究の推進方策 |
直腸内圧の上昇に応じて観察される外腹斜筋・腹直筋・内腹斜筋・腹横筋の支配神経の活動の詳細をデータ数を増やし解析を行う。また慢性的な完全脊髄損傷モデル動物を作成することが難しいため、当初計画していた慢性脊髄損傷モデルを作成して記録を行うことを変更し、急性実験下で脊髄損傷を行い、直腸内圧の変化に対して腹壁筋群の活動がどのように変化するかを解析する。それによって、直腸内圧変化の情報がどのように腹壁筋群に伝わるかを考察する。
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