研究概要 |
随意運動介助型電気刺激装置(オージー技研)の刺激電圧を検出するシステムを作製した.刺激電圧を検出することで,実際に刺激装置が嚥下の随意運動をとらえ,運動を介助しているかどうかを知ることができる.さらに,検出した電圧を動作解析装置と同期させることで,嚥下運動と電気刺激のタイミングを検出可能になった. 次に健常成人に液体3ml, 液体10mlを嚥下させ,電気刺激を加えたときと加えない時の舌骨・喉頭の動きを三次元動作解析装置KinemaTracer(キッセイコムテック社)を用いてサンプリング周波数60Hzで計測した.カラーマーカは額,鼻尖,下顎,舌骨,喉頭隆起に装着し,CCDカメラ2台で撮影した.電気刺激は銀・塩化銀表面電極(Vitrode F-150M)を用いて,舌骨・喉頭挙上筋に対して行った。刺激波形はパルス幅50μs×6回,刺激周波数20Hzの振幅変調方式である。刺激電圧はサンプリング周波数20Hzでモニターし,その時間的変化をKinemaTracerと同期させた. 電気刺激なしに比して,随意運動介助型電気刺激を与えた場合に喉頭の挙上量が有意に大きくなった.また刺激電圧は喉頭隆起の動きに同調して上昇,下降がみられ,喉頭の動きと電気刺激電圧が同期していることが明らかになった.随意運動介助型電気刺激が嚥下動作に対して有効であることが示唆され,摂食・嚥下障害患者への応用の道が開けたことは重要と考えられる.
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