研究概要 |
健常成人12名(平均年齢32歳,平均身長167cm,平均体重62kg)に対して液体3ml,10mlをシリンジで口腔底に注ぎ,命令嚥下させた.次にクッキーの咀嚼嚥下も行わせた.被験者の舌骨上筋上に表面電極(Vitrode F-150M)を装着し,PASシステム^<[○!R]>(オージー技研)を用いた随意運動介助型電気刺激の有無による喉頭の動きを三次元動作解析装置KinemaTracer^<[○!R]>(キッセイコムテック社)を用いて計測した.カラーマーカは喉頭隆起に装着し,CCDカメラ2台で撮影した.刺激波形はパルス幅50μs×6回,刺激周波数20Hzの振幅変調方式とした.刺激電圧はサンプリング周波数20Hzでモニターし,その時間的変化をKinemaTracer^<[○!R]>と同期させた.喉頭挙上距離は液体3ml刺激なし,液体3ml刺激あり,液体10ml刺激なし,液体10ml刺激ありの順に6.7±3.0mm,8.8±5.1mm,6.7±3.3mm,10.0±4.1mm(平均値±標準偏差)であり,repeated measure ANOVAにより有意差がみられ,Tukey HSD法による多重比較では液体10ml刺激ありが液体3ml刺激なし,液体10ml刺激なし群よりも喉頭挙上距離が大きかった.クッキーの咀嚼嚥下においても,喉頭挙上距離は刺激なし14.3±5.3mm,刺激あり21.3±9.6mmと有意に刺激ありで大きくなった.以上から,随意運動介助型電気刺激の使用により嚥下動作時の喉頭挙上を大きくできることがわかった.
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今後の研究の推進方策 |
今後は摂食・嚥下障害患者に対して随意運動介助型電気刺激を用いた嚥下動作の再建を行う.最初に通常行われる評価である嚥下造影検査または嚥下内視鏡検査により摂食・嚥下機能を評価する.次に空嚥下時に随意運動介助型電気刺激を行い,舌骨挙上筋の強化訓練を行う.そして,嚥下造影検査または嚥下内視鏡検査で確認しながらとろみ,液体,咀嚼物を用いた食事の訓練を行う予定である.
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