研究課題
これまでの健常人を用いた研究から,随意運動介助型電気刺激の使用により嚥下動作時の喉頭挙上をより大きくできることがわかった.そこで,実際に摂食・嚥下障害患者に応用を試みた.摂食・嚥下障害を持ちリハビリテーション科に入院している患者のうち,書面で同意を得た場合に,まず随意運動介助型電気刺激装置PASシステム(オージー技研)を用いた治療的電気刺激を行った.刺激波形はパルス幅50μs×6回,刺激周波数20Hzの振幅変調方式である.言語聴覚療法士が行う間接訓練時に,舌骨上筋上に表面電極(Vitrode F-150M)を装着した.随意運動介助型電気刺激を用いることで,舌骨上筋の筋収縮がみられたときに,収縮に伴う筋電波形に比例して,電気刺激は強くなる.間接訓練時に,嚥下反射が惹起され舌骨上筋の筋収縮が生じると同時に電気刺激が入り,舌骨挙上をアシストした.嚥下反射が生じないときには電気刺激が入らないため,20分程度の訓練中に筋疲労の訴えなどはみられなかった.定期的に行われる嚥下造影検査の時に,電気刺激の有無による舌骨挙上距離を比較した.摂食・嚥下障害患者においても,電気刺激を行うことにより嚥下動作時の喉頭挙上をより大きくできることがわかった.液体を嚥下する場合には嚥下時のみに電気刺激を加えることが可能であったが,固形物で咀嚼を伴う場合は,咀嚼運動時に舌骨上筋の筋収縮が生じるため,咀嚼と嚥下を区別する必要があった.今後は咀嚼と嚥下を区別することによって,咀嚼嚥下に対しても随意運動介助型電気刺激を用いた動作再建を行っていく予定である.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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