研究概要 |
本年度では、昨年度に生体内で筋収縮張力測定のために構築した実験システムを用いて、ラットの筋標本から基礎的な機械的収縮特性のデータ取得を実験温度条件37度にて行った。 1, 最大収縮張力の測定。刺激間隔の異なる刺激を与えて強縮(複数回電気刺激を与えて生じた収縮のこと)による張力測定を行った。その結果、100Hz以上の刺激により収縮張力曲線の最大が融合した。 2, 筋を直接刺激する直接刺激および神経刺激による単収縮張力(1回刺激)および強縮張力(100Hz、0.5s)を測定した。静止長における単収縮、強縮ともに直接刺激および神経刺激による収縮張力にはほとんど違いがなかった。 3, 直接刺激および神経刺激による単収縮張力および強縮張力(100Hz、0.5s)を様々な筋長で測定し、長さ-張力関係を作成した。(1)単収縮張力では両刺激方法ともに筋長を伸張するに従い徐々に張力が増大し最大に達した後張力は減少した。しかし、一般的な長さ-張力関係ではなく2,3回張力が減少する現象が見られた。(2)強縮張力では両刺激方法ともに筋長を伸張するに従い徐々に張力が増大し最大に達した後張力は減少し、一般的な長さ-張力関係が見られた。しかし、神経刺激による張力の減少率が直接刺激よりも大きかった。 哺乳類の場合、恒温動物であるために体温が外界よりも高いため神経-筋接合部の伝達効率は高いのかもしれないということ、また、用いた筋標本の筋形が長さ-張力関係に影響を与えている可能性があることなどが、本研究結果より考えられる。来年度はよりデータ量を増やして詳しく解析をし、さらに温度条件を変えて神経-筋接合部の伝達効率がどう変化するのかも検討をする予定である。
|