呼吸器疾患未診断の地域在住高齢者408名に呼吸機能検査を実施した。一秒率が70%以上を正常群(348名)、70%未満(60名)を気道閉塞群に分類し、性別、年齢、身長、喫煙の有無にてマッチングし正常群60名、気道閉塞群60名の2群で比較した。 測定項目は、Body Mass Index (BMI)、認知機能評価、呼吸機能検査、呼吸筋力評価、脊柱アライメント測定、肢体筋力評価(上肢筋力、下肢筋力、体幹筋力、足趾把持力)、骨格筋量測定、バランス評価(重心動揺評価、片足立位時間)歩行能力評価(最速歩行速度、10m障害物歩行時間、Timed Up and Go test(TUG)、6分間歩行テスト(6MWT))、主観的生活観評価および活動能力指標評価とした。 結果、COPDの有病率は14.7%であり、気道閉塞群のGOLDによるCOPDの病期は、I期16名、II期33名、III期11名、IV期0名であった。呼吸器疾患未診断の地域在住高齢者に呼吸機能検査を実施することにより、I期、II期といった早期の段階の患者が発見できる可能性を確認した。健常群と気道閉塞群の比較で、持久的歩行能力である6MWTは両群に有意な差が認められず、VASによるQOLは全ての小項目で有意差が認められなかった。早期のCOPD患者は、日常生活において何ら異常を自覚しておらず、そのことがCOPDの早期発見を遅延させる要因となっているものと推測された。しかし、握力、MIP、MEP、最速歩行速度、10m障害物歩行時間といった瞬発的な運動能力を中心とした能力は既に有意に低下し始めていることが分かった。
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