研究課題/領域番号 |
22500492
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研究機関 | 神戸国際大学 |
研究代表者 |
堀江 淳 神戸国際大学, リハビリテーション学部, 准教授 (60461597)
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研究分担者 |
村田 伸 西九州大学, リハビリテーション学部, 教授 (00389503)
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キーワード | リハビリテーション / COPD |
研究概要 |
【目的】平成23年度研究の目的は、地域在住高齢者における呼吸器疾患未診断の閉塞性換気障害者の身体機能、身体能力、生活の質の1年間の変化を健常高齢者と比較しつつ分析するこど。また、その結果より慢性閉塞性肺疾患患者の早期発見が遅延する要因について言及すること。 【方法】対象は、1年間縦断的に経時的変化を追跡できた地域在住高齢者214名であった。方法は、これら対象者の初年度の調査で1秒率が70%以上を正常群、70%未満を閉塞群とし1年間の経時的変化を追跡調査した。測定項目は、握力、膝伸展筋力、上体起こし回数、MIP、MEP、10m生涯歩行時間、TUG、最速歩行速度、6分間歩行距離、BASによるQOL質問表(健康感、満足感、生きがい、人間関係)、老研式活動指標とした。統計学的分析方法は、正常群、閉塞群の測定値の1年間の差の比較を、年齢を共変量とした共分散分析で分析した。また、正常群、および閉塞群の開始時と1年後の測定値の差の比較は、対応のあるt検定で分析した。統計学的有意水準は5%とした。 【結果】正常群は196名(男性45名、女性151名、平均年齢72+/-6.6歳)、閉塞群18名(男性10名、女性8名、平均年齢77+/-7.5歳)であった。正常群、閉塞群の1年間の差の比較は、全ての測定項目で両群に有意差を認めなかった。また、正常群、閉塞群の開始時と1年後の比較は、全ての測定項目で有意差がなかった。 【考察】潜在的閉塞性換気障害者の1年間の身体機能、身体能力、生活の質は健常高齢者と差がなく、経時的変化も、健常高齢者より有意に低下していくことがなかった。1年間という短期間では差の生じにくいことが慢性閉塞性肺疾患患者の早期発見を遅延させてしまう要因になっているものと考察される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年間の経時的変化を順調に追跡できた。1年間という期間では閉塞性換気障害の有無が身体機能、身体能力、QOLに顕著に影響を与えることがなかったが、引き続き2年間の変化で経過を追っていきたい。
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今後の研究の推進方策 |
現時点では当初の予定通り順調に研究計画が進んでいる。これまで研究フィールドとして長年、活用してきた地域であるため、現場スタッフとの調整、地域住民との連携などもうまくいっている。 1年間の経時的変化では有意な差が見られなかったが、引き続き、2年間の経時的変化でどのような経過が見られるのかを追跡していきたい。 現時点では、研究遂行に大きな問題は認めない。
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