本研究の目的は、経管栄養カテーテルの気管内誤挿入を予防する光ガイドシステムの開発である。すなわち、栄養カテーテルを胃内へ挿入する際、光ファイバによってカテーテル先端を発光させ、透過光を体外からモニターすることにより胃内への到達を簡便に確認するデバイスである。 人体の耳朶および食肉の白色光源の透過光スペクトルを実測し、光源波長は700-900nmが適当と考えられた。そこで、光源として中心波長830 nmのレーザダイオードを選択し、発熱を軽減するパルスウェーブモードで駆動することとした。次に、筋肉、脂肪層からなる仮想の腹壁モデルを仮定しモンテカルロシュミレーションを行い、必要な出力を求め、発熱を軽減するパルスウェーブモードで駆動することとした。 ファイバは、小児用栄養カテーテルにも適合するよう、細径で曲げに強くかつ低コストであるグレーデッドインデックス型ポリマー光ファイバを選択した。ファイバ出射端は斜めにカットし、側方のへの光が最大となる端面角度を光線追跡法と実測により決定した。このファイバ3本を外周に向かって光を射出するよう配置し、外形1.4 mmのポリカーボネートチューブで被覆した。 体壁の透過光は冷却CCDカメラに近赤外光フィルタを装着して行った。コンピュータから光源を制御、デューティー比0.5で点滅させた。画像の収録は光源と同期させ、光源のオンオフに合わせて繰り返し収録した。さらに、光源オンの画像からオフの画像をサブトラクションし、3フレームの移動平均のカラー強度画像を実画像に重ねて連続表示し、実時間に近い形で視認性の高い画像を表示できるようにした。 今後は、ファイバの強度、安全性をさらに検討したうえで、実証実験を行いたい。
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