研究概要 |
本研究では,ユビキタスコンピューティング技術を実験住宅にインストールし,Real Life下で生体モニタリングを行うヘルスケアシステムを開発することを目的とした.具体的には,生体パラメータのうち歩行活動に着目し,建築躯体に加速度計を埋め込んだ空間を創出し,住居内を移動する際の床振動情報から歩行情報を収集する.本年度は大学に隣接する実験住宅(お茶ハウス,東京都文京区大塚,延床面積82.7m^2,木造1階建て)を利用することで,リビングならびに寝室床下を中心に,1個/1.2m^2の密度で加速度センサを計15個配置した.このセンサの配置密度は住宅の躯体構造に基づいて決定した.センサには3軸加速度センサモジュール(カイオニクス社,KXM52-1050,周波数範囲10~1500Hz)を利用した.また,センサ信号の計測は,有線方式によるA/Dデータ収集とし,データ収集ハードウェア(National Instruments Corp.,PXI-6143,同時サンプリング,16ビットAD,8ch,250kS/秒/ch)を用いて構築した.同データ収集ハードウェア5台によるシステム構成とすることで,将来の収集データの拡張に備えた(計40ch).また,計測プログラムはLab VIEWによるグラフィカルプログラミングとした.以上の計測システムを構築し,実験住宅内での通常歩行時の床振動を計測することが可能であった.現在,上記システムを利用し,基本的な床振動データ(一定の力積を床面に与えた時の床振動データ)を収集するとともに,住宅の振動特性をシステム同定の観点から解析している.次年度には,被験者の位置推定,歩行バイオメカニクス特性の計測等を実施する計画である.
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