増加している脳卒中で片麻痺となった患者が退院・在宅生活を開始すれば、入院中の手厚い看護・介護体制から自立し、在宅での生活に定着しなければならない。在宅患者がどのような日常生活状態を過ごし在宅定着により変化するかは未解明であるが、早期の退院が促されるようになり、在宅での定着状態の把握は重要になってきた。本研究では生活状態を反映するテレビ利用状態をモニタリングし、現在は未確立である退院時から在宅へと生活が変化する退院移行期における在宅定着状態の評価手法の確立を3年間で目指す。 2年目として、本研究に参加していただける被験者宅にテレビ利用状態をモニタリングするシステムを設置した。さらに、被験者の通所リハビリテーション時に認知や身体能力などの評価を行い、テレビ利用状態と共に、これらの変化を記録した。要介護2の男性被験者の場合、退院直後にはテレビを利用する時間が不規則であったが、時間の経過と共に規則的なテレビ利用の習慣が確認されるようになってきた。また、通所リハビリテーション時に評価している各種項目では、退院前に比べて在宅へ移行後には(1)生活空間の広がり、(2)認知症テストや(3)機能的自立度は向上もしくは維持した。しかし、(4)身体能力に関しては低下する傾向が現れた。このように当初の目的通り、テレ利用状態からは在宅での定着状態が推定できる可能性が示されてきたが、身体能力に関しては退院前に比べて低下することが示された。これらについては、今後詳細にデータを解析・検討する必要がある。
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