研究課題
極めて重症な神経筋疾患者・高位頸随損傷者の新たなヒューマン・インタフェース構築を最終目標とし,従来からのbrain-computer interface: BCI研究では用いられていない骨伝導刺激音によるP300型BCI構築のための開発実験を行った.これまでの検討から,骨伝導の伝達特性を加味した弁別課題においても気導聴覚刺激と同様に有用なP300成分の導出が可能であった.最終年度は,より多数の健常者を対象とし,P300成分の安定導出のための最適な刺激呈示条件を詳細に検証した.骨伝導音の音圧レベル,周波数, 持続時間などの特徴パラメータ変化,骨伝導振動子の設置位置による両側内耳への伝導特性の検討など,P300成分の頂点振幅値,潜時などからその最適条件を検討した.最適な刺激条件に合わせた刺激実験システムの構築を進め,臨床活用を想定したより実用的な段階に発展させることを目標とした.最終年では,4項目の1. 基本的な骨伝導聴覚刺激によるP300応用BCIシステムの構築,2. オンライン・データ分析システムの設計と抽出アルゴリズムの開発・構築,3. 刺激提示による事象関連電位のオンライン分析とコマンド発信システムの設計・構築,4. 先進的な脳波応用技術の開発研究を進めている研究機関との連携と情報収集について本研究成果の積極的な伝達・発信を実施した.超磁歪型ヘッドホンを用いた骨伝導音弁別選択課題では,音圧レベルの条件で約55 dB程度が良好なP300導出に適しているものと考えられた.従来からのP300型BCIシステムに応用されていない骨伝導音によるBCI構築が可能であると考えられた.骨伝導音刺激に特化した先行研究は,伝音難聴者(児)の埋め込み型人工内耳に関わるもの以外に極めて少なく,基礎的なヒトにおける骨伝導音の伝音系と感音系をより明確とした検討が必要であった.
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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長野県作業療法学術誌
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計測自動制御学会 中部支部シンポジウム2012 講演論文集
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電子情報通信学会 信学技法(MEとバイオサイバネティクス)
巻: MBE2012-30(2012-9) ページ: 1-4