本研究では、色覚正常者、色覚異常者いずれにとっても有用な機能を有するウェアラブル色覚支援システムを構築する。このシステムは、有機ELパネルを用いた超軽量ヘッドマウントディスプレイ、カラーCCDカメラ、超小型コンピュータから構成される。 本研究は、平成22~24年度の3カ年を研究期間としており、その期間内に本研究が目指すシステムの構築と、実証実験を行いたいと考えており、平成22年度は、さまざまな色覚異常状態をコンピュータディスプレイやヘッドマウントディスプレイ上に再現可能なシステムの構築を目標として研究を遂行した。 その結果、USBカメラとヘッドマウントディスプレイとパーソナルコンピュータを用いてプロトタイプシステムを構築するとともに、以下のソフトウェアシステムの実装を行った。 【色覚異常状態シミュレータ】 ・網膜内の視細胞分布を基に、使用するUSBカメラのRGB特性を考慮したプルキニエシフト機能の実装 ・典型的な先天性色覚異常のタイプに対応した錐体細胞および桿体細胞の分光視感度特性をシミュレートし、USBカメラ入力画像を変換表示する機能の実装 【色彩認識支援システム】 ・RGB輝度値と、人間が認識する色名との非線形マッチング手法の検討 ・使用するUSBカメラの注視点のRGB特性を入力とし、色名、色の分類情報を推定する機能の実装
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