研究課題
本年度はシステムの中心となるモバイルアームの安全性に関する検討と、計測した脳波の解析を中心に研究を進めた。まず昨年度製作した、アタッシュケースに収容可能な自由度のモバイルアームのサーボにおいて、ある一定以上のトルクが加わるとモバイルアームシステムが停止するように制御ソフトウェアの改良を施した。また利用者が非常時に手元で緊急停止するためのスイッチをコントローラに設けた。さらに、マイコンが暴走した際の利用者への接触事故を避ける目的で、フォトリフレクタと信号検出回路から構成される、非常停止装置を付加した。これにより、非常時にはモバイルアームの手先の負荷の有無に影響されずにモバイルアームシステムが適切に停止することが実験的に示された。これらの安全対策ののち、モバイルアームを用いた水分摂取実験を行った。実験被験者は3名の筋ジストロフィー疾患患者である。3名とも全身の筋力が低下して筋委縮が顕著であり、日常生活において寝ているとき以外は電動車椅子で生活している。食事の際には介助が必要な状態である。実験では、3名の患者が操作可能な専用のコントローラを製作・使用した。実験結果より、筋ジストロフィー疾患患者でも本モバイルアームシステムの操作が可能であることが明らかになった。次に、健常被験者に視覚刺激によるオドボール課題を課した際の脳波計測を行い、標的刺激1回ごとの計測データの、リアクションタイムが速いグループと遅いグループの電極Pzと01に着目して解析した。電極には皿電極を使用し、電極の配置には、国際10-20法を用いた。その結果、事象関連電位P300ではPzの方が最大振幅が大きく潜時も長い傾向が見られた。一方、N100では反対に01の方が最大振幅が大きく潜時が短くなる傾向が見られた。他の電極との関連性については現在解析中であり、これらの解析結果を総合的に検討することにより、モバイルアームの制御に適切な脳波信号の特徴抽出が可能となると考えられる。
3: やや遅れている
ロボットアーム(モバイルアーム)の安全性に重点を置いて研究を進めたため、脳波インタフェース部の開発がやや遅れている。
今後は脳波インタフェース部の開発を重点的に進める。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
電気学会論文誌C
巻: 131 ページ: 1752-1759
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Informatics in Control, Automation and Robotics
巻: 2 ページ: 119-122
10.1007/978-3-642-25992-0_16
巻: 2 ページ: 123-126
10.1007/978-3-642-25992-0