研究課題/領域番号 |
22500516
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
曲谷 一成 東海大学, 工学部, 教授 (00181610)
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キーワード | 視覚障碍者 / 道案内 / RFIDタグ / 電子白杖 |
研究概要 |
昨年度までに試作を行った電子白杖は、誘導テープを識別することができ、誘導テープ上に接地されたRFIDタグのコードを読み取りそれに応じた道案内音声を、装置の利用者に伝えることができた。しかしながらRFIDタグトランシーバ、案内音声制御装置、誘導テープ検出装置が独立した仕様となっていたため、装置自体が大きく重いものとなり総重量が500グラム以上あった。これでは道案内機能は有するものの、重さのため使用者に負担がかかるものであった。そこで、これらの機能を一体化しコンパクトに纏めることにより装置自体の小型化を図り、また使用する電源を統一することにより軽量化を図った。この結果杖を含めた総重量は300グラム程度となり利用者の負担を大きく軽減する電子白杖を開発することができた。 我々の開発している視覚障害者用道案内装置は誘導経路に沿って床に経路毎の色テープを貼り付け、それを白杖で検出しながら視覚障碍者を道案内する物である。この方法は非常に効果的であり大半の視覚障碍者が誘導経路に沿って目的地まで到達できることが実験により確認されている。しかしながらこの装置は同一色のテープ上を移動することは可能であるがその方向を検出する手段を持っていなかった。このため進行方向を誤った場合、目的地から遠ざかる方向に歩行してしまうという欠点があった。今年度は利用者がどちらの方向に進んでいるかを判別するための仕組みを開発し、その実験を行った。この方法では誘導テープを誘導路を示す色テープと方向検出用色テープにより構成する。誘導路を示すテープは目的地毎に色を変えるが、方向検出用テープは同じ色で構成する。その上で、例えば方向検出用テープを目的地に向かう誘導テープの常に右側に配置するとすれば、白杖を振る方向と検出するテープの色の順番から進んでいる方向が分かることになる。実際に実験を行ったところこの仕組みが良好に動作することが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載した通り、今年度は装置利用者の進行方向を識別する装置を開発し実験によりその動作の確認を行った。これにより電子白杖による視覚障碍者のための道案内装置はほぼ完成したことになり、来年度にその実用化試験を行う予定である。これは当初の予定をほぼ満足する結果である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は電子白杖を用いたシステムを完成させ、視覚障碍者を被験者とした道案内の実験を行いシステムの完成度を評価する予定である。またGPSを用いた道案内システムについても現在携帯電話を利用したシステムを開発しており、このシステムの総合評価を行う予定である。
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