研究概要 |
平成23年度は,蓄尿障害を有する要介護高齢者に対して仙骨表面治療的電気刺激を実施した.介入前後では排尿日誌を用い,排尿状態の変化を評価すると共に,排尿および失禁毎に5段階にグレード化した尿意スケールを用い尿意を聴取した結果から,尿意の程度による排尿および失禁パターンの変化を調査し解析した.排尿状態の変化として,失禁量や失禁回数,尿意切迫感頻度に有意な改善が認められた.また排尿パターンは,日中排尿において,尿意なしでの排尿の割合に変化はほとんど認められなかったが,尿意切迫感を有する排尿の割合が減少し,その他の尿意での排尿の割合が増加していた.一方,夜間排尿においては,尿意なしでの排尿の割合が激減し,また尿意切迫感を有する排尿も減少すると共に,その他の尿意レベルの割合が増加した.そして介入前および介入期の排便記録から排便状態を評価したところ,排便日数が有意に増加し,便形状は硬便回数が減少し,適正便回数が有意に増加し,軟便回数が減少していた.仙骨表面治療的電気刺激は,排尿状態の改善と共に排尿パターンに変化をもたらし,同時に排便においては硬便や軟便を減少させて適正便を有意に増加させる神経調節の効果が考えられた.
|