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2011 年度 実績報告書

重症心身障害児の医療・生活・教育を支援するICTシステムと情報ネットワーク基盤

研究課題

研究課題/領域番号 22500520
研究機関星城大学

研究代表者

三田 勝己  星城大学, 大学院・健康支援学研究科, 教授 (40100169)

研究分担者 赤滝 久美  大阪電気通信大学, 医療福祉工学部, 教授 (30280811)
キーワード重症心身障害児 / 在宅ケア / ICT / 情報ネットワーク / 医療支援 / 生活支援 / 特別支援教育
研究概要

本研究では,重症心身障害児(者)(重症児と略す)の在宅ケア対策の一つとして,重症児専門施設で提供される医療管理・生活介護・教育支援など各種のサービスを可能な限り居宅でも受けられること目指し,ICT(情報通信技術)を活用した支援機器システムを開発し,これが効果的に活用される包括的な情報ネットワーク基盤を構築して,その実証運用と評価を行うことを目的とした。
本年度は,まず,健康状態が不安定な在宅重症児を対象とし,呼吸器機能のバイタル信号(呼吸音および肺音)を電子的に聴取する計測システムを開発し,これら低周波数信号の記録を確認できた。また,3つの情報ネットワークモデルを設定して,テレビ電話を中心としたICTシステムの実証運用を開始した。テレビ電話にはNTT製フレッツフォンVP1000を使用し,重症児の居宅と重症児施設あるいは特別支援学校の間を高速ひかり電話網/ADSL電話網で接続した。情報ネットワークモデルは,(1)家族の職場からの見守り支援,(2)重症児施設によるケアホームでの地域生活支援,(3)特別支援学校からの教育支援の3つのモデルを設定し,併せて重症児施設による医療支援も行った。現在も実証運用中であるが,見守りモデルでは,患者の体調を把握するうえで大きな助けとなることが示され,家族に安心感をもたらした。地域生活モデルでは,ケアホーム利用者の健康管理や日常生活を支えるのみならず,利用希望者に対してもケアホーム生活の抵抗感を低減し,入居の促進につながることが期待された。教育モデルでは,居宅での訪問教育と教室での学習を一体化できる可能性が示唆された。また,こうした課題学習だけでなく,居宅生徒に対して全く行われてこなかった朝の会や終わりの会などの学校行事への参加がテレビ電話を通して可能となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では,その目的を達成するために具体的な課題を3つ設定した:(1)テレビ電話システムの選定と技術的課題の検討,(2)バイタル通信機器の開発,(3)情報ネットワーク基盤の構築と実証運用。課題(1)は当初の計画を達成できた。課題(2)は電子聴診器による呼吸音・肺音の計測システムの開発を完了し,その伝送方法の検討を進めている。課題(3)では3種類の情報ネットワークモデルでの実証運用を開始し,評価データの蓄積を行い,その有用性や課題が明らかになり始めた。

今後の研究の推進方策

ICTシステムの実証運用を継続し,少なくとも1年以上の長期間にわたるデータを蓄積し,確実に実用化を図るために有用性の評価と課題の分析と対策を進めていく予定である。バイタル通信機器の開発では,呼吸音・肺音を伝送するシステムの開発を推進する。さらに,近年,インターネットを利用したテレビ電話(Skypeなど)やテレビ会議システム(Spreed, Live On など)が普及し始め,その性能も著しく進歩してきた。これらは経費的に極めて有望であるが,パソコンを利用する技術を必要とする。新しいICTツールとして今後の動向に注目し,導入を検討したい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] 重度肢体不自由児施設入所児の生活機能と障害:I.大島の分類による障害種別とJASPER・ADL Ver.3.2を用いた日常生活活動の調査2011

    • 著者名/発表者名
      三上史哲, 三田岳彦, 小田浤, 三田勝己, 岡田喜篤, 江草安彦
    • 雑誌名

      重症心身障害学会誌

      巻: 36(1) ページ: 157-167

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 肢体不自由児施設入所児の運動機能および知的機能と活動・参加の関連-ICFに基づいた調査データを用いて-2011

    • 著者名/発表者名
      三田岳彦, 三上史哲, 杉本明生, 小田浤, 三田勝己, 岡田美保子, 岡田喜篤
    • 雑誌名

      医療情報学

      巻: 30(6) ページ: 327-335

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 重度肢体不自由児施設入所児の生活機能と障害:II.国際生活機能分類(ICF)を用いた社会生活力の調査2011

    • 著者名/発表者名
      三田岳彦, 三上史哲, 杉本明生, 小田浤, 三田勝己, 岡田美保子, 岡田喜篤, 江草安彦
    • 雑誌名

      重症心身障害学会誌

      巻: 36(3) ページ: 399-408

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 肢体不自由児施設入所児の生活機能と障害:III.国際生活機能分類(ICF)を用いた参加制約の調査2011

    • 著者名/発表者名
      三田岳彦, 三上史哲, 杉本明生, 小田浤, 三田勝己, 岡田美保子, 岡田喜篤, 江草安彦
    • 雑誌名

      重症心身障害学会誌

      巻: 36(3) ページ: 409-416

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 重症心身障害児(者)施設におけるデータベース構築の研究2011

    • 著者名/発表者名
      末光茂, 三田勝己, 平元東, 秋山勝善, 住原清弘, 伊東保志, 三上史哲
    • 雑誌名

      厚生労働省精神・神経疾患研究委託費「重症心身障害児(者)の病因・病態解明,治療・療育,および施設のあり方に関する研究」総括研究報告書(平成20年度~平成22年度)

      ページ: 32-39

  • [学会発表] 肢体不自由児施設人所児の運動および知的機能障害が活動・参加に及ぼす影響2011

    • 著者名/発表者名
      三田岳彦, 三上史哲, 杉本明生, 小田浤, 三田勝己, 岡田美穂子, 岡田喜篤
    • 学会等名
      第31回医療情報学連合大会
    • 発表場所
      鹿児島
    • 年月日
      2011-11-22
  • [学会発表] 重症心身障害児(者)の在宅生活を支援するICTシステムと情報ネットワークモデル2011

    • 著者名/発表者名
      三田勝己、平元東、赤滝久美、花岡知之、渡壁誠、岡田喜篤
    • 学会等名
      第37回日本重症心身障害学会学術集会
    • 発表場所
      徳島
    • 年月日
      2011-09-29
  • [学会発表] 重症心身障害児施設人所児(者)の「個人チェックリスト」の分析I.運動機能と感覚機能の経年変容2011

    • 著者名/発表者名
      三上史哲, 三田岳彦, 三田勝己, 岡田喜篤, 末光茂, 江草安彦
    • 学会等名
      第37回日本重症心身障害学会学術集会
    • 発表場所
      徳島
    • 年月日
      2011-09-29

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公開日: 2013-06-26  

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