研究概要 |
平成23年度の本研究の成果は下記の3項目となっている. 1.健常者における立ち上がり・着座動作の解析 健常者の立ち上がり・着座動作について,座面位置,足位置を変化させた時の立上がり挙動の変化について,被験者を用いて検討した.試験は3次元動作測定装置を用い,各下肢位置,加えて下肢の主要筋の筋電図を取得した.足位置に対する座面位置の水平距離が遠くなるほど,立上がるために前方への体幹が必要になり,座面位置が低いほど必要となる筋力が増加した.これらの基礎結果より,重心位置に応じた脚部筋の使用状況,協調動作時のタイミングを決定し,提案する立ち上がり・着座訓練装置の機械補助と電気刺激を行うシステム設計の検討を進める. 2.脚部筋の機能的電気刺激手法について 電気刺激信号波形のパラメータ調節による脚部筋の動作について,足関節の底屈動作を例として負荷時の発揮力の動特性について検討した.また同時に主観的痛覚の評価を実施した.これらの結果より,電気刺激による関節トルクの動特性を予測でき,立上がり機械補助力との協調制御の検討が計算機上で実施できることとなった. 3.立上がりに対する機械補助方針について下肢の2リンク機構にてモデル化し,立上がりに必要となる関節トルクの検討を計算機上で実施した.また座面位置,足位置に対する立上がりの可能領域について人体データベースから推定し,被験者を用いて検証を実施した.項目1で示す健常者の立上がり挙動を組み入れ,項目2の電気刺激による発揮関節トルクの動特性を用い,これらの成果から立上がり補助装置の動作制御の検討を進める事が可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
立上がりの試験について低予算にて実施可能な計測装置を用いた実験手法の確立までに予備実験を多く必要としたことが遅れている原因となっている.また当初は病院の動作解析装置を使用する予定であったが,外部使用に対して病院の許可を得る必要があるが研究者間による打合せが不足したため,申請が遅れている.あと,研究代表者の鈴木が平成23年10月から在外研究員として1年間英国に滞在することになり,装置作成等の実作業が進んでいないことが挙げられる.
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画ではリハビリテーション効果の検証までを行う予定であったが,病院での試験申請には多くの予備実験が必要となり,研究代表者の鈴木が在外研究にて装置作成を行えない等から,計算機上のシミュレーションを援用し,装置設計に重点を置きまずは装置完成を目指すこととする.
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