研究課題
ヒトの歩行中の関節軌道に着目すると一歩毎にばらつきがあるが,たとえば足先を振り出すときに躓きが起きやすい瞬間など,転倒防止に重要と思われる瞬間においては,各関節軌道のばらつきが相殺しあって足先位置のばらつきは抑えられていることを申請者はこれまでの研究で示してきた。本年度は前年度までに引き続き,成人、子どもの二足歩行の運動計測データに対してUCM解析を行い 、上記のような関節間シナジーが歩行中のどの様なタイミングにどのように活用されているかを調べた。その結果は,小学1年生の児童では成人に比べて歩行周期全体にわたって弱い関節間シナジーが働くが,成長とともに関節間シナジーの時間変化に強いコントラストが生じていくことを示唆するものであった。この点の一般性についてはより多くの被験者に対する解析を行うことで今後継続的に検証していく予定である。また、関節間シナジーが神経系の働きによる結果か、もしくは筋骨格系の力学的構造に生み出されるものかを調べるために、受動歩行ロボットの関節間シナジーを計算機シミュレーションによって解析した。その結果,脚を振り出す時の躓きが起きやすい瞬間などにおいては,よく設計された受動歩行機でもヒトと同様に関節間シナジーが生じていることがわかった。このことは,ヒトの脚の機構系が歩行に適した物理構造になっていることを示唆する点で興味深い。一方で,ヒトには観察されても受動歩行ロボットでは観察されない関節間シナジーの存在も確認した。このような関節間シナジーは神経系の支配による可能性が高いが,受動歩行ロボットの身体パラメータが異なる場合にも同様な結果が得られるかについての検討も継続的に行っている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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