研究概要 |
近年、社会環境や家庭環境の変化により子どもの生活習慣の乱れてきていることが指摘され、子どもの体力、学習意欲の低下が問題視されており、その原因として生活習慣の乱れが影響していることが考えられる。これまでに実施した小・中・高校14,447名を対象に行った調査において、朝食の喫食状況を見てみると、小学校低学年から高校生にかけて毎日食べると回答する割合は減少傾向にあり、また、自覚症状に関する項目においても学年進行につれ悪化傾向を辿っている。この中でも特に高校生の生活習慣の乱れが問題視され、学校現場では授業に集中できない生徒や体調不良を訴える生徒が増加している。 生活習慣と健康問題との関わりを持つと考えられる原因の一つに貧血があげられるが、言うもでもなく集中力の欠如や体調不良などの症状は貧血の主症状であり、貧血が子どもたちの体力、学習意欲の低下を引き起こしていることが考えられる。そこで2011年度は全国の高校21校、計6,726名の高校生活実態(就寝時間、朝食喫食、排便、入浴、学習時間、運動時間、携帯電話、ニューメディア使用時間など関する調査、非観血的方法によるヘモグロビン値測定を実施した。また教員に対しては生徒の生活・健康・体力・学力などに関する意識調査を実施した。 調査の結果から、各学校において、血中ヘモグロビン値の平均値において学校間で差異が見られた。また、学校によっては平均値がWHOの定める貧血の基準値を下回る学校もいくつか見られた。また、血中ヘモグロビン値の基準値以上・未満の割合について比較した結果、平均値での比較した結果と同様に学校間において差異が見られた。教員に関するアンケート結果からは、教員の意識と生徒の生活習慣とには関連があることが明らかになった。
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