本研究は、日米両国に所蔵されているアメリカン・ボード日本ミッションの往復書簡及び報告書を駆使して、米国がわが国近代体育に及ぼした強い影響について、従来見られなかった新たな視点を提示して日本近代体育の成立過程の再構築を目指している。1.日本近代体育の成立を横断的な視点-1870年代を相前後してわが国に導入された体育を日米相互の関係に注目して-捉える。2.優れたキリスト教文化の所産として日本に伝えられた体育-どの様な理念に基づき、体育を通して何を伝え様としたのか-を特定の宗派に立ち入って検討する。その際わが国に滞在した外国人宣教師やお雇い外国人教師達の人的交流にも着目し、彼等の活動の全体を探って行く。<期間内に明らかにすること>:(1)アメリカン・ボード来日米国人宣教師文書の調査・研究(2)アマースト・グループにおける体育の実態に関する解明(3)アマースト・グループと札幌農学校の結びつきについての解明<本年度の研究実施計画>:研究代表者は、米国議会図書館、マサチューセッツ州立大学、アマースト大学特別資料室、ハーバード大学ホートン図書館・同大学医学部附属図書館等を訪問し、本テーマに関する研究討論及び史料収集を現地の研究者と行って来た。ここで得られた成果・知見を持ち帰り、本研究を更に深めて行く準備がある。すでに収集・蓄積した史料の分析を進め、本資料間の関連性、意義等の吟味を行い日本と米国の体育交流の実像に迫って行く。<平成22年度の研究計画・方法>:特に今年度は、本テーマに関する基礎史料の分析・検討に重点をおいて研究を進めて行く。今回、特に強調すべきは、以下の新出史料が発掘された点である。(a)コングリ図書館所蔵のアマースト大学関係者の研究業績、(b)リーランドの東京師範学校における授業記録、(c)アマースト大学体育館創設経緯等これらの貴重な資料収集の成果を加え、研究の取り纏めを行った。
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