本研究の目的は、体育における幼稚園から中学校までの一貫カリキュラムを構築するために基礎技能となるべき運動の習得過程を探ることにある。今回は新しい学習指導要領で大きく変わった、「ボール運動」および「球技」について「バレーボール」と「ベースボール」に焦点を当て、その基礎技能の習得過程を授業実践の中で観察した。基礎技能としてバレーボールではパスを、ベースボールでは投球を取り上げた。どちらの基礎技能も、中学校では言語指示による指導で技能が向上したが、小学校ではさまざまな教材や手だてを用いることによって技能が向上した。基本的に自由保育である幼稚園では、投げやすいボールを提供することにより投げる経験をさせた結果、特別な指導がなくても相応の技能向上が見られた。ボール運動・球技においては、幼稚園での自由なボール遊び、小学校でのさまざまな教材や手だてによる活動を行っていけば、中学校での球技でほぼ基礎技能が習得され、応用・発展の段階に進めると考えられる。
|