本研究ではこれまでになされた開発途上国の体育教育事情についての研究を整理し、研究の動向を明らかにするとともにデータベースを作成し、開発途上国の体育教育事情の特質性を明らかにすることである。今年度は、その中で、これまでわが国でなされた開発途上国の体育教育事情の研究論文の収集を行った。開発途上国の体育教育事情についての研究報告の数は先進国と比べれば著しく少ない状況にあるが、その中でも以下のような傾向がみられた。まずは、全体的にアジア諸国を対象とした研究が多いことである。一方でオセアニアやラテンアメリカについての研究・報告はほとんどみられなかった。また、1980年代以前は旅行報告のような取り扱いが多かった当該分野も、90年代以降、学術雑誌に掲載されるケースが増加している。加えて、近年、開発途上国を対象にした体力測定に関する研究などが増加の傾向にあり、この類の研究論文から途上国の体育教育事情が描き出されているケースもみられる。これらの研究論文収集方法上の課題として、各種文献目録、データベース、蔵書検索システムなどを用いたものの、これらからは確実に資料の検索が出来ないことが明らかになってきている。今後、著者別検索などもさらに詳細に行い、すべての研究・報告を欠けることなく収集し終え、その上で、諸外国の体育教育事情の研究方法やその成果をまとめ、年代毎、地域毎に整理していくと同時に、資料分析から得られる諸外国の体育教育の共通性、特殊性などについても検討を行いたい。
|