本研究ではこれまでになされた開発途上国の体育教育事情についての研究の動向を明らかにするとともに開発途上国の体育教育事情の特質性を明らかにすることである。 今年度は、これまでわが国及び諸外国において行なわれた開発途上国の体育教育事情に関する研究論文を引き続き収集するとともに、これらの研究の動向とその総括的な整理を行った上で、開発途上国の体育科教育の特質性についての分析を行った。近年、当該分野の研究が増えつつあり、特に我が国では開発途上国を対象にした体力測定に関する研究が増加しつつある。また、以前は比較体育学的な視点、あるいは国際協力を行なう際のデータベース作成を目的とした視点からの研究が多くみられていたが、最近では体育やスポーツを国際開発のツールとして用いようという試みやそのための研究が増えつつあることが分かった。また、当該分野の研究の時代的、地域的な動向など全体的な概要の整理をすることができた。加えて資料分析から得られた諸外国の体育教育の共通性、特殊性などについても検討を行い、現在この成果をまとめつつ、学会報告への準備を進めている段階である。さらにはこのたびの研究で作成した開発途上国の体育教育事情研究データベースの活用法の検討が今後の課題である。
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