本研究の目的は、追いかけ鬼を①どの程度の量と期間、実施するといかなる体力・運動能力に効果があるのかを明らかにすること②指導モデルを呈示することであった。本年度は、未分化な遊びだと児童の間に活躍できる者とそうでない者の差が生じることから、児童全員の参加の保障と興味関心の持続をねらいとして、場(空間)とルールに教授学的改変を加えた追いかけ鬼を策定・実施した。具体的な教材名、指導方法、期間、体力・運動能力の向上効果は以下のとおりである(対象者は小学低・中学年)。 1.「しっぽ取りねことねずみ」①しっぽをつける(勝敗の明確化)②対戦相手を変える③取ったしっぽの数をチームで競い対抗戦とする(集団の凝集性)④実施回数は1人当たり6回(追う3回&逃げる3回)⑤安全地帯までの距離は10mが妥当(10mより長または短の場合ゲームの緊迫性が希薄化)⑥実施期間は1週間以上行うことが妥当⑦体力・運動能力については、25m走、3・5・7シャトル走、全身反応時間テストに遊び前後に統計的に有意な差が認められたことから、瞬発力、敏捷性、巧緻性の向上が期待できる。 2.「改良たからじまゲーム」①5人対5人の対抗戦②11×22mのコートに鬼ゾーンを2ヶ所設定(1.5×11m/鬼2人・3人)③鬼は鬼ゾーンでしか行動できない④冒険チームは2本のしっぽを腰につけ鬼ゾーンでしっぽをとられることなく30秒以内に宝(紅白玉)をゴールの宝島に運ぶ⑤冒険チームはしっぽを2本取られなければスタート地点へ戻り何回でも宝を運ぶことができる⑥勝敗は各チーム2回の冒険で運んだ宝の数の合計で決する⑦実施期間は1日当たり20分間程度1週間以上行うことが妥当⑧体力・運動能力については、ケンパー跳び、反復横跳びに遊び前後に統計的に有意な差が認められたことから敏捷性、巧緻性、平衡性の向上が期待できる。
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