研究概要 |
ハードな身体接触を伴う運動の教育的効果を「情意面」及び「身体への気づき」の観点から検討した。すなわち、「組ずもう」と身体接触を伴わない「棒ずもう」の授業を4年生児童を対象に実施した。また、抱きつきで相手を止める「カバディー」とタグを取ればアウトになる「タグカバディ」の授業を3生児童を対象に実施した。さらに、タッチフットボールを3年生を対象に実施した。いずれについても「よい授業への到達度調査」「攻撃性調査」「筋出力の制御力」「体への気づき調査」によって、「攻撃性」及び「身体への気づき」の変化を検討した。 その結果、「組ずもう」は、「棒ずもう」に比べ、児童の攻撃的な感情の表出を押さえ、身体への気づきを高め得ることが認められた。また、身体接触を伴うカバディならびにタッチフットボールの授業は,ゲーム領域の教育内容である作戦の高まりが期待できる教材に成りうることが認められ、抱きつきで相手を止めるカバディ、タッチフットボールは,子ども達の身体感覚を高めると同時に,攻撃性を抑えてルールを守ろうとする態度や他者への思いやりの気持ちを育む可能性のあることが示唆された。 加えて、体性感覚の皮膚感覚の代表として、二点識別能力(スピアマン式触覚計)と重量弁別能力、固有感覚の代表として最大握力の2分の1の力を正確に発揮できるかでみた筋出力の制御力の加齢的変化を横断的に検討した。その結果、これらの三つの能力間には有意な相関関係は認められず、体性感覚の別個の能力を測定していると考えられた。これらの能力をT得点化して総合評価した体性感覚は、加齢的に発達し、6年生で成人のレベルを示す傾向のあることが認められた。
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