本年度は,小学校2年生から6年生の男子児童,各学年12名の計60名を対象に,種々の努力課題で走り幅跳びを行わせ,彼らの認知的内容と技術的要因の関係を経年的に検討した。その結果,2年生では主観的な認知的内容と客観的な技術的要因との間に対応が正確であると考えられる項目は認められず,スポーツとしての走り幅跳びの学習は困難であると考えられた。「助走スピード」を生かした学習は3・4年生から可能であると考えられた。4年生では助走距離の長短を中心とした学習過程が,5・6年生では助走の走り方や助走スピードを生かした踏み切り方法を中心とした学習過程がそれぞれ適しているものと考えられた。 いずれにしても,この3年間における実験結果より,10歳頃を境に運動中の児童の認知的内容と技術的要因との関係が大きく異なる点で共通する結果を得た。これにより,小学校では低学年期で基本運動を十二分に経験させることの必要性と意味づけが強化されたものと考えられる。
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