研究概要 |
本年度は,まず,バドミントンの技術の構造化を試みた。すなわち,ホームポジションと打点位置との効率的な移動運動の繰り返しであるフットワークを基礎技術(土台)として,その上に「ストローク(打動作)」という基本技術を柱とし,「オーバーヘッドストローク」「サイドアームストローク」「アンダーハンドストローク」へと枝分かれしていくように構造化した。 次に,学習者がバドミントンのゲームを楽しいと感じるのはどのようなゲーム様相であるのかを,ラリー継続回数及び決定ショット数から検討し,楽しさを保障するためのゲームの姿を,大学生を対象に明らかにしようとした。その結果,ゲーム敗者においてはラリー回数が増えればゲームで感じる楽しさも大きくなる傾向のあることが認められた。また,ゲームに負けても楽しかったと感じる平均ラリー回数は4回以上で,ラリーが続かないことがゲームを楽しめない理由になり得ると考えられた。さらに,ハンディキャップ制導入ゲームではその影響のあることが認められた。 そこで,バドミントンの技能差を埋めるために2種類のハンディキャップ制(コート縮小)を導入した際の有効性を,大学生を対象に検討した。その結果,サイドラインを狭めるよりエンドラインを狭めた方がより点差を縮め得た。また,縮小コートのゲームは,技能下位者のラリー継続や決定ショットの楽しさを高め得ることが認められた。 一方,学習者の技能レベルを評価する指標として,オーバーヘッドストロークから打ち出されるハイクリアーの動作得点化を試みた。その結果,ハイクリアーのフォームは8つに分類され,打動作の効率性から得点化された。また,動作得点と打ち出されたシャトルの初速との間に有意な相関関係(r=0.772(p<0.01))が認められ,作成された動作得点は,一応妥当と考えられた。
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