本年度は,まず,個人の技能レベルの評価法〔0.096×(クリアー(動)得点)+0.064×(フットワーク得点)+0.014×(リフティング得点)+0.021×(サーブ得点)-0.277〕とその妥当性を日本体育学会にて発表した。 次に,大学生を対象に,上記技能評価法により算出したレベル差を基にしたハンディキャップ制の条件を,5種のコートの大きさで,得点差やラリー回数等がどのように変化するかの観点から検討した。その結果,技能差0.00~0.25ではNC-BCCが適切であると考えられた。また,技能差0.26-1.25ではDC-NCが,技能差2.26以上ではDC-SCCが適切と考えられた。さらに,技能差1.26-2.25および技能差2.26以上ではDC-NCは不適切であると考えられた。これらの結果は,日本教科教育学会第38回全国大会にて報告した。(NC:通常のシングルコート,BCC:ダブルスのロングサービスラインから後ろをカットしたコート,DC:ダブルスのコート,SCC:サイドラインから両側各30cmをカットしたコート) さらに,中学生を対象に,通常コート条件(NC)での点差の大きさ(「点差小ゲーム」2~4点差,「点差大ゲーム」5~7点差)別に,技能下位者のコートを2つの方法で縮小するというハンディキャップ制を導入したゲームの有効性を,ゲーム様相と情意的側面から検討した。その結果,いずれのコート群においても,コートを縮小したゲーム条件では,通常のゲームよりも得点差は小さくなった。また,得点差は,コートの縦を狭める(BCC)よりも横を狭めた条件(SCC)の方が小さくなることが認められた。また,縮小コートの点差小ゲームでラリー回数が増加する傾向が認められた。特に,BCC群においてはSCC群よりも顕著であり,BCCの縮小コートはラリー回数を増加させ得ることが示唆された。
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