研究課題/領域番号 |
22500547
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
坂下 玲子 熊本大学, 教育学部, 教授 (20178552)
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研究分担者 |
橋本 公雄 九州大学, 健康科学センター, 教授 (90106047)
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キーワード | リズム体操 / ポジティブ感情 / ポジティブ心理学 / 感性教育 / 動きの教育 |
研究概要 |
本研究は、人間が持っているポジティブな感情や特性に焦点を当て生活の質の向上に寄与しようとするポジティブ心理学の視点(Seligman、2002)を取り入れ、心とからだの統合を目的とする「リズム体操」における動きの習熟とポジティブ感情との関連について明らかにしようとするものである。 この目的を達成するために、前年度はおもに、ポジティブ心理学に基づくポジティブ感情に関して、SeligmanやPeterson(2000;2005)、Fredricksonら(1998;2000;2001;2003)の文献レビューを行い、これまでの運動心理学における感情変化のメカニズムとの関連性を検討し、リズミカルで全身的な運動のポジティブ感情への有効性および動きの質の向上とポジティブ感情との関連性を示した。今年度は、本研究で取り上げるリズム体操の体育科教育における意味や有効性について、ドイツにおいてリズム体操が生まれ発展してきた歴史的な経緯や、日本の体操(体つくり運動)領域の考え方や内容についてその変遷も含め検討を行った。その結果リズム体操は、成果主義に偏った教育に対し人間らしく教育することを目指した改革教育運動、芸術教育運動の中から起こった体操改革運動により全身的でリズミカルな動きが重視されるに至ったことが示された(菅井、2011)。しかし日本における体操(体つくり運動)領域は、これまで体力づくりを請け負う領域として位置づけられ、運動文化としての考え方、体操が持っているはずの技術が具体的に見えてこない(近藤・岡出、1994)ことが示され、心と体を一体として捉える観点が重視されている現学習指導要領においても同様の状況であり、本研究の体育科教育における貢献のためにも体操において自分の身体をいかに動かすかという技術の明確化の必要性が示された。さらに、リズム体操の実践の前後におけるポジティブ感情の変化についての、パイロット研究において感情の変化が一過性の運動による影響を強く受けており、質的研究を加えるなど研究方法の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動きの習熟による感情の変化を明らかにすることが研究の目的であるが、今年度の調査において感情の変化が一過性の運動による影響を強く受けており、研究方法の再検討が求められた。
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今後の研究の推進方策 |
以下の2点について、研究を進める。 (1)動きの習熟の観点を、体操において自分の身体をいかに動かすかという技術の明確化との関連から明らかにしていくこと。 (2)ポジティブ感情の変化について量的研究と質的研究を併用すること。
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