研究課題/領域番号 |
22500550
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研究機関 | 昭和薬科大学 |
研究代表者 |
吉永 真理 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (20384018)
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キーワード | 幼児 / 共感性 / 行動制御力 / 遊び / アクション・リサーチ / 養育方針 / GONOGO実験 |
研究概要 |
(1)行動制御力に関するフォローアップの測定及びデータ解析 昨年度4歳時点でGONOGO測定を実施した保育園において、5歳時点の状態を測定した。測定に際しては、3園を対象に、ちびここ遊びプログラムを実施する日と実施しない日を設定した。実施する日はプログラムの前後、実施しない日は間に1時間半ほど時間を置いて2回の測定をそれぞれ実施した。データ解析については、本対象児の特徴(GONOGO測定時にGO指令とNOGO指令を比較的よく理解しているのに、間の無駄押し/NO TASKが多い)を考慮して、型判定の方法を寺沢らの方法で実施した。その結果、プログラム実施日で明らかに不活発型の減少を見た。単発的なプログラムであっても「わくわくドキドキする体験」が幼児の当該日の行動制御や刺激反応を向上させ、集中力や活力の改善につながる可能性が示唆された。 (2)共感力に関するフォローアップ調査 共感力の4歳時点からの変化については、保護者および保育者からの「子どもの強さと困難さ」に関する尺度への回答結果から把握した。4歳から5歳にかけて、思いやる心、我慢する心が大きく成長している様がとらえられ、そうした変化は(1)の行動制御や刺激反応性とも関連していることがうかがえた。 (3)アクション・リサーチ結果の解釈 ちびここプログラムは子どもたちの反応や遊び内容への感想をもとに、内容に改変を加えながら進行した。その結果、子どもたちは多様な外的な刺激に満ちたまちでの遊びでは、新規性のある「五感を駆使した遊び」に強い関心を示すが、体育館などの室内環境では、平衡感覚、伸展性、対人接触など、感覚統合につながるような動きを含む身体活動に重点を置いた遊びを楽しむことがわかった。遊び内容についてはさらに解析を継続する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では図版を用いて「共感性」の測定を行う予定であったが、図版の説明を子どもたちが理解できているかが不確かであったため、保護者と保育者からの質問紙およびインタビューによる把握に切り替えた。途中までの成果を第58回日本学校保健学会にて口頭発表し、優秀発表賞を授与された。
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今後の研究の推進方策 |
今後は入学後のフォローアップを実施する。すでに、対象の保育園には、依頼を終了しており、各園で卒園児を集めた同窓会や祭りを実施する際に、フォローアップ調査の依頼とデータ回収を行うことになっている。また、アクション・リサーチとしての成果を達成するために、保育園関係者と研究実施者、研究協力者でワークショップを行い、成果の共有と意見交換、今後の保育活動への活かし方について、検討して、成果に反映させる予定である。その際には、対象児と保護者にも参加を呼び掛け、ちびここプログラムを再度実施する計画である。
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