研究概要 |
女性長管骨の経年骨形態変化には、エストロゲンが大きな役割を果たす。初経前の適切な運動が、骨を外側へ拡大することで骨強度を高めることが明らかになりつつある。そこで本年度はエストロゲンに左右されない男性を対象とし、学童期から大学に至るまでの運動が、骨塩量、骨密度および骨形態へ及ぼす影響を明らかにすることを目的とした。 被検者は、健康な若年男性79名(21.3±0.8歳)であった。DXA法で大腿骨近位端部と腰椎の骨密度を測定した。また、同一日に同脚側の大腿骨中位部横断面のMR画像測定を行い、画像より横断面の3次元的な指標として皮質骨面積、Imax, Imin等を算出した。被検者を小学校、中学校、高校、大学の各々でNo impact, Middle impact, High impactの3群に分け、身長、体重を共変量とした共分散分析を行った。またOsteogenic Index(運動年数×1週間の運動回数x運動強度)を用い、身長、体重を制御変数とした偏相関関分析を行った。 男性では運動開始時期が早ければ早い人ほど、骨強度が高いというわけではなかった。小学校、中学校、高等学校、大学と年を重ねるにつれ、High impact群が他群より有意な高値をより多くの骨強度指示で示した。どの段階から運動を始めても、適当なメカニカルストレスの加わるスポーツを長く続けることが、骨強度増強へ大きな役割を果たしていると考えられる。Osteogenic Indexは骨塩量や骨密度、骨構造を示す諸指標との間に有意な相関関係が認められ、指標としての有用性が示された。
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