本研究では、児童期のスポーツ原体験とパーソナリティ発達との関連を検討することを目的とした。ここではスポーツ原体験を「スポーツ参加に関連するすべての事象を含み、児童期における最も印象的で、かつ重要な意味合いを有すると個人が判断する経験」と定義づけ、スポーツ経験に限定した原体験の構造と内容についての分析を行った。先行研究をもとに、スポーツ原体験を体験の連続性の程度や現在との意味づけを基準に、「事実説明タイプ」・「体験回想タイプ」・「行為記述タイプ」・「評価意味づけタイプ」・「説明演説タイプ」の5つのタイプを抽出した(奥田、2010)。また、スポーツ原体験は性差や競技レベル、種目特性などの要因の影響が認められた。さらに、個別データからは、競技レベルの高い者は「評価意味づけタイプ」や「体験回想タイプ」のスポーツ原体験を語る頻度が高かった。このような結果からは、子ども時代からのスポーツ活動におけるさまざまな体験の連続性についての自覚が、現在の彼らの競技継続の支えとなっていることが示唆された(奥田、2012)。
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