研究概要 |
本研究は,H22年10月下旬に追加採択されたため,本年度の研究成果や進捗状況という観点から見れば,はかばかしくない。11月にプロジェクトを立ち上げたものの,最初の会議はH23年2月であり,従ってH23年度以降の課題を確認する程度に終わっている。 やや具体的に述べるならば,研究の枠組みの説明とプロジェクトメンバーのこれまでの研究の共通理解が図られた。その際に,研究代表者(石田)からは,体育授業で子どもの認識を重視する経緯とその変化についての報告があった。ここでは,戦後すぐの生活綴方を重視した体育実践での書かせる特徴と,1970年代後半の体育科教育の学力論議における子どもの認識の語りの特徴,その後,学び方を重視する「めあて学習」における子どもの認識的側面への着目の仕方,そして2011年施行の学習指導要領に見られる言葉の重視の特徴とそれらの違いについての報告があった。また,分担者(林)からは,子どもの感想文の書かせ方の質的な変化と読み取り方について,自らの教師経験をベースに語られた。また,分担者(口野)は,幼児に実施した運動認識を測定した調査の報告があった。そして会議では次年度以降の課題と到達目標が示された。 H22年度の当初の目的としては,理論的な子どもの認識発達をとらえる認識的枠組みの検討であり,これについてはヴィゴツキーを中心とする社会文化的構成主義の文献の収集を行った。また,授業分析用のビデオカメラとハードディスク記録用機器を揃え,質的分析ソフト(maxQDA10)を購入し,情報を入力しつつある。 成果については,1950年代の子どもの認識を実践的にはじめて重視した佐々木賢太郎の書かせ方の特徴については,すでに学術誌に投稿済みである。また,同一教師による同一教材を用いた異なる学年での授業における認識発達の調査については,まもなく論文の投稿を予定している。
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