研究課題/領域番号 |
22500558
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研究機関 | 帝塚山学院大学 |
研究代表者 |
飯田 貴子 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (60099554)
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研究分担者 |
來田 享子 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (40350946)
藤原 直子 椙山女学園大学, 人間関係学部, 准教授 (20329642)
藤山 新 東洋大学, 現代社会総合研究所, 客員研究員 (00440008)
吉川 康夫 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (90200964)
風間 孝 中京大学, 国際教養学部, 准教授 (50387627)
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キーワード | 社会学 / スポーツ / ジェンダー / 性的マイノリティ / セクシュアリティ / トランスジェンダー / 調査研究 / ガイドライン |
研究概要 |
性的マイノリティの実態把握に関する調査を目的に、スポーツ環境における性的マイノリティに対するマジョリティの考えや態度について、質問紙調査票を作成した。調査内容は、先行研究の検討後、スポーツの価値観、ジェンダー観、ホモフォビア、トランスフォビア、性的マイノリティについての知識、性およびスポーツについての個人の属性である。ジェンダー観に関する尺度以外は、海外の尺度を用いた。予備調査を実施し、クロンバックα、項目-全体間相関、因子負荷量、因子寄与率の側面から検討し、調査票を完成させた。やや、大部な内容であるが、日本では初めての調査となる。さらに、性的マイノリティに対する理解を深めるという点においても画期的な調査となり得る。性的マイノリティに対するインタビュー調査研究では、ゲイ/レズビアン・スポーツサークルの参加要因においてゲイとレズビアンには違いがあるように捉えられた。つまり、ゲイの場合は主流社会のヘテロノーマティビティによる阻害要因が、レズビアンの場合は社交要因が、より強く作用しているように考えられる。 ガイドラインに関しては、ワークショップを開催し、トランスジェンダーであることをカムアウトした元フェンシング日本代表者を招き体験を語ってもらうとともに、"Equal Opportunities for Transgender student athletes"(H. J. Carroll&PGriffin, 2010)を紹介し、学校教育における問題点と求められる対応策について話し合った。その結果、一人ひとりの人権を尊重すること、「当事者とマジョリティのコミュニケーションの問題」が課題である点が浮かびあがった。さらに「知識や情報の取得と提供」も強調されたが、その方法論については継続して検討する必要がある。 実績には、女性とスポーツに関する報告もあげている。これらは、本課題に関する研究の延長線上にスポーツにおけるマイノリティとしての女性の姿がより克明に描き出された結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
スポーツ環境における性的マイノリティに対するマジョリティの考えや態度について、質問紙調査を計画している。調査内容のうち、スポーツの価値観、ホモフォビアとトランスフォビアの尺度に関する先行研究が日本に殆どなく、トランスフォビアについては海外でも最近の研究であるため、日本に適用する尺度を選定するのに思いの外時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
性的マイノリティの実態把握に関する調査を目的に、スポーツ環境における性的マイノリティに対するマジョリティの考えや態度について、23年度に予備調査を行った質問紙調査を体育・スポーツ関連大学・学部・学科等に在籍する学生を対象に実施する。また、性的マイノリティに対するインタビュー調査も引き続き行い、性的マイノリティのスポーツ権保障のための日本のガイドラインを策定する上での総合的な理論的枠組みを提示する。
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