研究概要 |
本研究の目的は,球技スポーツにおいて国際レベルで活躍し,現在は現役を引退している一流競技選手が持つ実践知の獲得過程を,質的研究方法を用いて一流競技選手と対話的に構築すること,および研究成果を技術・戦術的に発達段階にある球技選手,特にジュニア期における球技選手の効果的な指導に役立つ知見として実践現場に提供することである. 平成22年度は,おもに,球技選手の持つ実践知を公共化する研究方法について再検討した.その結果,(1)実践知を実践現場のリアリティが反映されるように検討するには,実践知を客観化して対象としてとらえるのではなく,行為者の視点からとらえ直し,動感身体知に支えられている実践知を単なる机上の構想と区別する必要があること,(2)球技スポーツにおける実践現場で指導者や選手が用いている動きのコツとは,戦術思考力が身体化された〈カン〉身体知と技術力が身体化された〈コツ〉身体知が統一された身体知であるととらえることができ,球技における実践知はこの意味の動きのコツという言葉を手がかりにアプローチできること,(3)具体的には,動きのコツを手がかりにした内省,語りによる〈コツ〉身体知と〈カン〉身体知の外化,調査者と対象者による語りの共同産出,語りの内容に関するメンバー・チェック,個別事例の具体的様相の解読といった調査の手続きを行なうことで,実践の説明と解釈の精度の向上,反証可能性および語りの内容の妥当性および信頼性の保障といった,質的研究における科学性を保持しつつ,個人戦術における〈カン〉身体知と〈コツ〉身体知を行為者の視点を持って公共化できることを明らかにした研究実績の一部は,コーチング学研究第24巻第2号に発表した. 研究実績の一部は,コーチング学研究第24巻第2号に発表した
|