スポーツ事業を通じた震災復興活動やスポーツ公共施設の復旧状況の把握を目的に関連資料(新聞報道含む)の収集と現地調査活動に従事した。被災3県における現地調査先は、福島県福島市・郡山市、宮城県女川町・石巻市・東松島市、岩手県宮古市・釜石市・山田町・大槌町・大船渡市、宮城県気仙沼市・南三陸町、宮城県仙台市に及んだ。 上記活動と関連資料の把握・分析を行い、いずれも単著論文として、「スポーツガバナンスにおける好循環・連携・協働の分析枠組み」(『宇都宮大学国際学部研究論集』34号、2012年9月、25-34頁)と、「東日本大震災後のスポーツ支援活動をめぐる新聞報道と公共圏の萌芽―「連携」と「索引」の公共圏形成―」((『宇都宮大学国際学部付属多文化公共圏センター年報』第5号、2013年3月、66-79頁)を作成した。 前者においては、東日本大震災後のスポーツ行政対応を対象に、関係諸アクター間の「好循環」概念の敷衍を行った上で、スポーツガバナンス、すなわち、国と地域、地域と地域、さらには地域におけるスポーツ関係組織・機関・人が、とくに震災復興の側面でどのような影響を及ぼしつつあり、今後、どのような具体的好循環がもたらされる可能性があるのかについて、好循環・連携・協働をめぐる分析枠組みを提示した。 後者においては、震災後の教育活動やその範疇を超えたスポーツ支援活動のうち、とくに被災現地の学校スポーツあるいはスポーツ部活動における関係者・関係組織間の連携・協力活動に注目し、関連の新聞報道を主な情報源として、実践事例を抽出する。そして、諸事例に見られるところの共通の特徴、課題克服策、活動継続の要因、さらには今後の課題などを明らかにした。
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