研究概要 |
小学校教員の職能-研修意識に対して、岡山県、三重県の2つの地域で、悉皆調査を、各教育委員会、小学校体育研究会、国立政策研究所に協力依頼し実施した。その後、昨年度の東京都調査も合わせて分析を進め、小学校教員に教科指導観、各種資料利用状況、研修状況、体育科指導に関わる職能観が明らかになるとともに、体育科指導においては、教員の様々な属性に応じて、指導活動や研修活動が大きく分散しており、研修計画を立案する場合には、カテゴリーに応じ分化させた研修を行う必要性が明確に指摘できた。一例を挙げると、得意とする指導教科は、算数、国語、体育、不得意とする指導教科は音楽、社会、理科の順となっており体育は5番目となっている。30%程度の教員が、表現運動と器械運動を苦手な指導領域として挙げている。また、表現運動は教職歴が長くなればなるほど苦手と答える割合が高くなり,逆に器械運動の割合は低くなっている。さらに、東京は,他府県に比べて、陸上運動を苦手とする割合が低く、体つくり運動を苦手とする割合が高い。さらに、他教科に比べて体育の指導では,「教え方・伝え方」が難しいと感じる割合が、40%弱となっておりもっとも高く、「安全確保の仕方」「評価のあり方」と続いている。また、男性は「評価のあり方」が難しいと答える割合が女性に比べて顕著に高いなどである。また教職歴との関係から、成長に応じて必要とする職能が明確な傾向とともに変化する様子が明確に出来た。これは、前に行った中学校教員とほぼ同様の傾向であり、「成長モデル」としてさらに一般化できるものである。加えて、行政が編集し提供する指導のための資料が、利用を想定している教員像と実際に利用している教員にミスマッチが起こっていることも明らかになった。他方で、ipad等のictを利用して、調査結果を生かした研修内容について、教育委員会主催の研修において試験的な取組を進めた。
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