本研究は、体育科を指導する小学校教員の職能意識を明らかにし、その「成長モデル」から、現職研修のあり方について提言を行うことである。最終年度となる本年度は、以下のような研究成果を得た。 1)東京都と岡山県の教育委員会研修担当者、地域での研修企画に携わる管理職者に対してヒアリングを行い、とりわけ新任者とベテラン層における研修のあり方の難しさについて、児童の変化と学習集団、学習規律等の形成、指導者自身の運動経験の少なさ、研修企画にかかわる人材不足等の課題を抱えていることが明確になった。2)イギリス・ローハンプトン大学において、イギリスにおける小学校教師の研修制度について大学担当者からヒアリングを行うとともに、大学で実施されている「初等体育科教材研究」の講義に対して参与調査を行い、模擬授業と理論的な振り返りのセットでの講義実施の特徴と背景にある考え方について分析を行った。また、パリ第6小学校において、管理職、主任教員へのヒアリングを行い、児童の多様化とそれにともなう学級集団への指導の難しさ等の課題が共通して問題になっていること、現場研修が個人の能力開発として個人ベースで進んでいる現状等について調査を行った。3)研究成果を総合的に検討し、免許更新講習と地域での教育委員会主催の研修会において、テーマと教員の属性に準じたスモールグループを作成し内容を適正化するプログラムを作成し実施した。また、そのことに対する教員アンケートを実施し、その妥当性を検証した。4)ここまでの成果をまとめ、東京学芸大学において、3月23日に体育科を指導する小学校教員の成長と研修をテーマとしたフォーラムを開催した。5)研究成果を統合し、HP上で公開し成果の活用に関してのとりまとめを行った。 なお、児童に対する教員への意識調査は、時期の問題から実施できなかった。課題として、今後、フォローしたい
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