本研究の目的は、運動・スポーツが注意機能と二重課題時の立位バランス能力及び歩行能力に影響を及ぼすかどうかを明らかにすることである。本研究の対象者は、高齢者の運動実施者 30 名(運動群)と運動習慣のない高齢者 25 名(対照群)であった。6 ヶ月の運動介入前後における注意・認知機能の評価を行った。また、二重課題時の立位バランス能力と歩行能力の測定を行った。その結果、運動介入後において運動群が対照群に比べ、TMT-B及び計算時の TUG 時間の短縮、歩行速度及び歩幅の増加、ならびに計算時の歩行時の足関節・膝関節中心変動が小さくなることが明らかとなった。これらのことは、継続的な運動・スポーツの実施は高齢者の注意機能や二重課題時の立位バランス・歩行能力を向上させる可能性があることを示唆している。
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