本年度は,過去2年度にわたって行われた研究のまとめと成果の公表を行うことを目的とした. 研究成果これまでの研究を通じて,次のような結果が明らかとなった. アメリカ生まれの健康作りを志向した新たな運動文化としてのジョギングは,我が国においては1970年代後半以降爆発的なブームとなる.この新たな運動文化に対するメディアの反応は,当初,健康作りのために有効であると積極的に評価するものから,スポーツが華美なファッションに流れていると批判するものまであり両義的であった.しかしその後,ジョギングが市民社会に広がりを見せ始めると,メディアはジョギングという新たな文化に乗せて,様々なメッセージを伝えるようになる.その内容は,たとえば,男女関係,障害者と健常者の関係,国際関係,仕事と余暇の関係などに及んでいる.これらのことより,メディアはジョギングという報道対象を通じて,「量」から「質」へといった生活価値観の変化について様々な提言を行っていたのではないかと思われる.つまり,ジョギングをひとつのメディア(媒体)として,メディアは「豊かさ」や「幸せ」の再定義を促すような報道を行ったと考えられる. 以上のような結果,並びに過去2年にわたる研究結果を,研究成果報告書としてまとめ,研究結果をインターネット上に公開した.
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