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2010 年度 実績報告書

登山事故を防止するための運動生理学・体力科学的なフィールド研究

研究課題

研究課題/領域番号 22500583
研究機関鹿屋体育大学

研究代表者

山本 正嘉  鹿屋体育大学, スポーツトレーニング教育研究センター, 教授 (60175669)

キーワード登山 / 事故防止 / 中高年 / 健康 / 運動生理学 / フィールド研究
研究概要

登山は典型的なエアロビクスであり,運動強度的に見るとウオーキングとジョギングの中間に位置する.また運動時間は,他のエアロビクスと比べて長いのが特徴である.従って登山は,健康の維持増進にとって,ウオーキングに馴れた人が次の段階の選択肢として行うのによい運動といえる.実際に,現代の日本では,中高年を中心に登山ブームが続いている.しかしその反面,登山中の事故も年々増加しており,深刻な問題となっている.そこで本研究では,登山事故を防止し,安全,快適,健康的な登山を行うための方法論を開発するための基礎データを,フィールド研究を中心として得ることを目的とした、本年度は,実際の山で,身体にどのような負担がどの程度かかっているかについて検討した.対象とした山は,日本人にとって最もなじみの深い富士山とした.対象者は,登山経験の少ない高齢者であり,2泊3日で富士登山を行った.その結果,行動時・生活時ともに,身体には様々な大きな負担がかかっていることが明らかとなった.たとえば歩行中の動脈血酸素飽和度は,山頂付近では60%台にまで低下していた.歩行中の心拍数は,推定最高心拍数の80%を超えていることが多かった.歩行中に身体が受ける衝撃力は,登りよりも下りでより大きな値を示し,下りで転ぶ事故が多いという現代の登山事故の特徴を裏付けるような結果であった.安静時の最高・最低血圧も,山頂での滞在時には高血圧の領域にまで上昇していた.睡眠中の動脈血酸素飽和度は,60%台と著しく低下していた.富士山は毎夏,約40万人が登るという典型的な大衆登山の山である.しかし以上のように,身体にかかる負担度は非常に大きいことが明らかとなり,このような負担を自覚した登山を行わないと,安全性が確保できない可能性が考えられた

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 富士登山時の生理的・物理的な負担度2010

    • 著者名/発表者名
      笹子悠歩, 山本正嘉
    • 雑誌名

      登山医学

      巻: 30 ページ: 105-113

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 中高年登山者向けの体力評価システム構築の試み2010

    • 著者名/発表者名
      山本正嘉, 西谷善子
    • 雑誌名

      登山研修

      巻: 25 ページ: 16-20

  • [学会発表] 歩行速度,歩行路の傾斜,およびザック重量との関連からみた登山時の生理的負担度の体系的評価;トレッドミルでのシミュレーション歩行による測定2010

    • 著者名/発表者名
      萩原正大, 山本正嘉
    • 学会等名
      第65回日本体力医学会大会
    • 発表場所
      千葉県
    • 年月日
      20100916-20100918
  • [学会発表] 中高齢者と高所への適応;高所での登山を対象として2010

    • 著者名/発表者名
      山本正嘉
    • 学会等名
      第18回日本運動生理学会大会
    • 発表場所
      鹿児島大学(シンポジウム)
    • 年月日
      20100731-20100801
  • [学会発表] アンケート調査および体力テストの結果から見た中高年登山者の体力不足の実態2010

    • 著者名/発表者名
      山本正嘉, 西谷善子
    • 学会等名
      第30回日本登山医学会学術集会
    • 発表場所
      群馬県みなかみ町
    • 年月日
      20100508-20100509
  • [学会発表] 中高年登山者における富士登山時の生理応答;運動時,安静時,睡眠時を対象として2010

    • 著者名/発表者名
      笹子悠歩, 山本正嘉
    • 学会等名
      第30回日本登山医学会学術集会
    • 発表場所
      群馬県みなかみ町
    • 年月日
      20100508-20100509
  • [学会発表] 登山時の生理的負担度を表すダイアグラム作成の試み;傾斜,速度,ザック重量,および酸素分圧との関連から2010

    • 著者名/発表者名
      萩原正大, 山本正嘉
    • 学会等名
      第30回日本登山医学会学術集会
    • 発表場所
      群馬県みなかみ町
    • 年月日
      20100508-20100509
  • [図書] トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか2010

    • 著者名/発表者名
      羽根田治, 飯田肇, 金田正樹, 山本正嘉
    • 総ページ数
      303
    • 出版者
      山と渓谷社

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公開日: 2012-07-19  

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