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2011 年度 実績報告書

登山事故を防止するための運動生理学・体力科学的なフィールド研究

研究課題

研究課題/領域番号 22500583
研究機関鹿屋体育大学

研究代表者

山本 正嘉  鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (60175669)

キーワード登山 / 事故防止 / 中高年 / 健康 / 体力 / 体力テスト
研究概要

本研究は,安全で健康増進にも役立つような登山の方法論(登山処方)の確立を目指すものである.本年度は,登山中に身体が受ける生理的な負担度を客観的なデータで表すとともに,それを元に,過度な負担がかからずに登山を行えるようなガイドラインを示すことを目的とした.
登山中の生理的な運動強度は,上り下りとも,負荷の種類(歩行路の傾斜,歩行速度,担荷重量)によらず,垂直方向の仕事率に対する二次関数の回帰式で表すことができる.この式を用いると,登山中の運動強度や,エネルギー消費量を簡便に推定でき,運動処方に活用できる.また登山の特異性を考慮した,フィールドでの体力テストの評価指標にも利用できる.
上り歩行では,運動強度が乳酸閾値を超えないように歩くことが重要である.これが達成できれば,適切な水分およびエネルギー補給を行うことで,疲労せずに長時間の運動継続が可能となる.一方,下り歩行では,運動強度が乳酸閾値を超える可能性は小さいが,ガイドラインに従い,定常的な有酸素性運動を行ったとしても,なお脚筋の疲労が起こる可能性がある,この疲労の防止方法については今後の検討課題であるが,疲労度の指標としては脚の主観的運動強度が有効である.
ガイドラインについては,以下のように作成した.
1.歩行ペース:上り歩行では,最高心拍数の75%以下,そして,心肺または脚筋の主観的運動強度が「ややきつい」以下のペースで歩く.下り歩行では,脚筋の主観的運動強度が「ややきつい」以下で歩く.
2.水分補給:登山中の脱水量(ml)を,「登山時間(h)×体重(kg)×5」という式で推定し,この、70~80%の水分を定期的に補給する.
3.エネルギー補給:登山中のエネルギー消費量(kcal)を,「登山時間(h)×体重(kg)×5」という式で推定し,その70%程度のエネルギーを定期的に補給する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

4年間で4つの課題を設定しているが,半分の2年間を経過した段階で,その半分の1)および2)の課題がほぼ終了したため.

今後の研究の推進方策

上記(11)に述べたとおり,現在,4年間の研究期間の半分に当たる2年間を経過したが,当初設定した4つの課題のうち,2つ目までをほぼ終了し,満足すべき結果を得ている.来年度は3)の課題に,再来年度は4)の課題に着手する予定である.また,1)や2)についても,適宜,補強的なエビデンスの収集にも努める予定である.

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 現代の中高年登山者の体力不足の実態と今後の課題2011

    • 著者名/発表者名
      山本正嘉
    • 雑誌名

      登山医学

      巻: 31 ページ: 37-42

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 寒冷環境下での運動に関する今後の研究課題;トムラウシ山での低体温症事故の調査結果から2011

    • 著者名/発表者名
      山本正嘉
    • 雑誌名

      体育の科学

      巻: 61(11) ページ: 841-844

  • [雑誌論文] 高所登山のためのトレーニング2011

    • 著者名/発表者名
      山本正嘉
    • 雑誌名

      臨床スポーツ医学

      巻: 28(7) ページ: 737-743

  • [雑誌論文] 登山経験の少ない高齢者における富士登山時の生理応答;運動時,安静時,睡眠時を対象として2011

    • 著者名/発表者名
      笹子悠歩, 山本正嘉
    • 雑誌名

      登山医学

      巻: 31 ページ: 132-144

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 歩行路の傾斜,歩行速度,および担荷重量との関連からみた登山時の生理的負担度の体系的な評価;トレッドミルでのシミュレーション歩行による検討2011

    • 著者名/発表者名
      萩原正大, 山本正嘉
    • 雑誌名

      体力科学

      巻: 60 ページ: 327-341

    • 査読あり
  • [学会発表] 現代の中高年登山者の体力不足の実態と今後の課題2011

    • 著者名/発表者名
      山本正嘉
    • 学会等名
      第31回日本登山医学会学術集会
    • 発表場所
      国立オリンピック記念青少年総合センター(東京)(招待講演)
    • 年月日
      20110611-20110612
  • [学会発表] 登山経験の少ない高齢者における富士登山時の生理応答;運動時,安静時,睡眠時を対象として2011

    • 著者名/発表者名
      笹子悠歩, 山本正嘉
    • 学会等名
      第31回日本登山医学会学術集会
    • 発表場所
      国立オリンピック記念青少年総合センター(東京)
    • 年月日
      20110611-20110612
  • [図書] メタボリックシンドロームに効果的な運動・スポーツ2011

    • 著者名/発表者名
      坂本静男編著
    • 総ページ数
      106-117
    • 出版者
      ナップ
  • [図書] 機能解剖・バイオメカニクス(健康・スポーツ科学テキスト)2011

    • 著者名/発表者名
      北川薫編集
    • 総ページ数
      135-144
    • 出版者
      文光堂

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公開日: 2013-06-26  

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