① 時間的安定性の優位性-空間的な変動係数は、時間的な変動係数より大きく、男子では少年から中年まで約2倍、高齢群では約4倍大きかった。女子では少年群から中年群までは約3倍大、高齢者では約4倍大きかった。男女とも全て年齢群の空間的変動係数は時間的変動係数より統計的に有意に大きかった。以上のことで、高速動作では時間的安定性は空間的安定より優れていることが見られた。 ② 加齢による変動-男女とも各年齢群の間に時間的変動係数の統計的有意差が見られなかった。また加齢と時間的変動係数との相関が見られなかった。即ち、加齢による空間的安定性は低下するが、時間的安定性は保たれる。また加齢による筋力の衰退はみられたが、時間的安定性は筋力の変動に影響されないことも見られた。 ③ 性 差-時間的変動係数TCVの性差について,いずれの年齢群でも統計的有意差はなかった ④ 動作開始における安定性-動作開始時について、男子の少年から高齢者群から変動係数の有意に大きかった。女子については、青年と高齢者群から変動係数の有意に大きかった。開始局面において、下肢動作の不安定性が示唆され、また、女子より男子のほうがその不安定性が顕著であることも示唆された。 ⑤ 動作の疲労性-動作の終了期について、男子では全ての年齢群に変動係数の有意な差異が見られなかったが、女子では青年と高齢者群から、変動係数が有意に大きかった。すなわち、男子より女子の方が、運動の終了期における疲労による動作の不安定性が示させたと考えられる。
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