本研究の目的は、主に海外の先行事例を参考にしながら、日本のスポーツ指導者向けの教育・環境整備プログラムを作成することであった。2010年度はスポーツ場面のセクシュアル・ハラスメントについての問題解決に向けての情報を収集し(Plan)、2011年度はそれらの情報を元にした映像プログラムを作成した(Do)。2012年度はその映像プログラムをスポーツ関連諸団体に配布し、さらには追跡調査を行ってその映像プログラムの使用状況を把握する(See)ことが目的であった。 作成したのは「スポーツ環境におけるセクシュアル・ハラスメントの問題-指導者向けプログラム-」と題する約20分間の映像プログラムである。そのプログラムを記録したDVDを2012年9月に(公財)日本体育協会ならびに62の加盟競技団体、(公財)日本オリンピック委員会、都道府県ならびに法人格を持つ265の市町村体育協会、日本パラリンピック委員会加盟団体(48)、(公財)全国高等学校体育連盟ならびに47都道府県高等学校体育連盟と1専門部、(公財)日本中学校体育連盟ならびに47都道府県中学校体育連盟、(公財)日本高等学校野球連盟ならびに47都道府県高等学校野球連盟、都道府県ならびに政令指定都市の66教育委員会の計588団体に配布した。また映像プログラムはホームページ( http://www.players-first.jp )からも視聴できるようにリンクさせた(2012年11月)。 2013年1~3月にかけて、上記588団体を対象として、配布したDVDの使用状況と、各団体の倫理に関する取組を質問する質問紙調査を実施した。190団体から回答があり、DVDを受け取ったと回答した団体が144団体(75.8%)、そのうち13団体(9.0%)が研修会などで使用しており、79団体(54.9%)が将来的に使用する予定と回答した。
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