研究概要 |
本研究の目的は、コーチの「心理的契約」に着目し、その心理的契約に及ぼす要因および、コーチの所属している組織に対するコーチの信頼感や満足度に作用する要因を検証することであった。 国際プロジェクトとして開発された指標を用い、その妥当性を検証することを目的とし、日本の水泳とJリーグのユースコーチを対象とした。水泳のコーチの研究では、2011年度ヨーロッパスポーツマネジメント学会(スペイン)での発表論文として発表した。また、Jリーグコーチの研究も2012年度ヨーロッパスポーツマネジメント学会(デンマーク)での発表論文として発表した。 水泳コーチの心理的契約実行(PCF)の5局面(取引、関係性、トレーニング、一般的契約、資源の援助)の妥当性は確認的因子分析(CFA)を用いて検証された。その結果、提案されたモデルの妥当性が本研究の日本人の水性コーチのサンプルにおいても、Jリーグのコーチにおいれも確認できた(水泳:chi-square/df = 2.67, p < .01; CFI = .98; NNFI = .97; RMSEA) = .09、Jリーグ:chi-square/df = 1.80, p < .01; CFI = .93; NNFI = .92; RMSEA = .07)。 Jリーグのコーチの心理的契約およびその他の要因が職場満足に及ぼす影響を検討した結果、次のことが明らかになった:(1)全体を対象とした場合、監督・コーチの職場満足を規定する要因は感情的コミットメント、関係性(上司による立場の尊重)、心理的契約の3要因であった、(2)監督を対象とした場合、職務満足を規定する要因は業務上の自由度、心理的契約の2要因だった、(3)コーチの職務満足を規定する要因は感情的コミットメント、信用の2要因であった。 本研究の結果は、2013年北米スポーツマネジメント学会でも発表される。
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