本研究では、我が国の「スポーツタレント発掘事業」実施地域に注目し、タレント発掘事業に参加した結果、「タレントとして選抜されなかった多くの子どもたち(以下、非選抜児童)」に対するサポートシステムに着目し、現状を把握することを第1の目的とする。また、単にタレント発掘事業を競技スポーツの発展のためだけに遂行するのではなく、実施事業を起点に地域スポーツ振興の発展へと繋げるための新たなサポートシステムを構築することを第2の目的とする。 平成22年度中に終了する予定あったヒアリング調査は、東日本大震災の影響で23年度(9月末)にかけて実施した。その結果、スポーツタレント発掘事業を展開している地域に対して、事業概要と地域スポーツ組織との連携について、非選抜児童へのサポートシステムを中心としたヒアリング調査を実施し、現状を把握した上で、モデル地域を選出した結果、福岡県、山形県、秋田県、岩手県、山口県などの事業展開に注目することとした。特に、Bailey and Koney(2000)によれば、非営利組織の組織間関係は、「協同→調整→協働→結合」という連続体のプロセスをたどり、生成発展すると論じられているため、本研究では、各競技団体および地域スポーツクラブをはじめとする、スポーツ関連組織との協働システムを核とした組織間関係の生成過程に目を向け、山形県YAMAGATAドリームキッズの育成プログラムのサポートシステムに注目することとした。実行委員会(行政・競技団体)のみならず、地域スポーツクラブ、市の体育協会、スポーツ推進委員会などと連携するシステム構築の準備に入っており、今後も継続的に調査・分析を行うこととする。
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